2016年度|熊本地震の現地調査
2016年度支援実績
現在までの配分状況
現地3名派遣
配分の内訳
配分先と支援内訳
使徒報告・メッセージ
2016年6月12日(日)、13日(月)と二日間にわたり熊本地震の被災地、主に被害の大きかった益城町と熊本市内へ行ってきました。実際に目にした現地での様子をお伝えしたいと思います。
6月12日(日)宿泊させていただいた博多のグループホーム「てとて」より朝7時に益城町に向け出発し震源地の被害状況を見に行くこととしました。博多から高速道路を走り2時間弱ほどで熊本に入ると、高速からは屋根の上のブルーシートがちらほらと見え地震の揺れで瓦が落ちた家屋が点在してきました。熊本インターで降り、益城町へ向かうに連れ倒壊している家屋が増えてきます。築年数の古い家屋は軒並み倒壊や半壊している様子で危険物件と指定された赤紙が目立ちます。被害を受けた建物はほぼ手つかずのままでした。県道235号線から被害の大きかった木山に向います。新しい建物の特養などは無事でしたが築年数の古い物件はほぼ倒壊している状況です。築年数の新しい家屋なども活断層の真上だったこともあり土地が歪んでしまい危険物件として扱われているものも多くありました。木山神宮に立ち寄り周囲の状況も視察し被害の大きさを知ることができました。木山神宮は屋根の重みで構造体が負けて崩れてしまい屋根のみが残っている状態でした。
益城町の避難所となっている益城町運動公園に移動しました。駐車場には場所取りとしてペットボトルなどが置かれており、移動や車中泊で車が使われていると想像します。
西原村を通り南阿蘇村まで目指すつもりでいましたが県道28号は西原村役場を少し越えた辺りで地震の影響で通行止めになっており南阿蘇へ抜ける事ができず別ルートを使っている状況で、時間も必要になってしまうので県道28号線から西原村周辺を視察するまでとしました。川沿いに走っている道路に隣接した家屋も多く倒壊していました。
熊本市内の精神障害者福祉の状況を聞き取るために熊本きぼう福祉センター(熊本県連事務所(精神保健福祉事業の県連絡会))へ向かいました。向かう途中や市街地の中心地でも築年数の古い家屋は倒壊の危険があり著しく歪んでいる物件が点在していました。熊本きぼう福祉センターに到着し主に精神保健福祉関係への震災の影響を聞き取りをしました。精神保健福祉関係では被害が大きく出ているところは少なく、大きな被害を受けたのは「新町きぼうの家(就B)」で賃貸の家屋が半壊し倒壊の危険があり家主が取り壊しを決定していることで現在はマンションを借りて活動を継続している状況との情報がありました。熊本市内の精神障害者の安否について計画相談でサービスの入っている方へは早い段階で安否の確認が取れ無事であったとのことでした。この6月12日の訪問していた頃は、市からの要請によりサービスを使っていない精神障害者手帳を持っている方の安否確認を市内の相談支援事業を持っている地域活動支援センターが行っている状況でした。しかし、日常の活動をしつつなのでペースとしては早くはないとのことでした。
次は観光名所となっている熊本城に移動しました。堀の外に柵が作られておりお城に近づくことはできません。石垣が激しく崩れ落ち、お城自体にも被害が見て取れます。再建にも莫大な時間や費用が必要だと感じます。特に石垣は現在の技術では再現ができないのではないかと感じました。また今日までお城の石垣が壊れなかったことが今回の熊本地震を突然の出来事だと示しているようでした。
6月13日(月)は益城町木山にお住まいで被災された熊本県社協の方を訪ね、お話をお聞きしました。印象に残ったのは、「『14日の地震では「頑張って復興していこう。」と思っていたのが16日の本震で『家も気持ちもボロボロになった。』そういう人が多い。」と話されていた事でした。「木山は瓦屋根の農家や築70年ほどの古い商店が多く、屋根が重い、柱が少ない建物は軒並み倒壊した。太陽光パネルなども重しになったのではないか?平屋は大丈夫だったところも多い。しかし、お隣さんは亡くなられている。家族も自分も無事だった、それだけでもう十分だと思っている。」また「知人が地震の直前に雷を見たそうで地盤が動いた際のエネルギーとの関係ではないか?」とお聞きした。他にも社協やボランティア、避難所などの状況も伺ったが個人情報もあり割愛させていただきます。
今回の熊本地震は東日本大震災と比べ津波や原発といった課題ではなく、断層直下型の地震で大きな被害が出たところだと思います。建物の耐久性がそのまま被害にも直結します。どこでも起こりえる震災です。現地を見た感想では不謹慎ですが死者数49名不明者1名が奇跡的な数字と思えます。しかし、人命や多くの人の日常の生活を突然に奪われた事は変わりありません。過去の震災の風化が懸念されています。個人的な見解ですが熊本の震災に至っては被災地から離れた場所にはメディアからも現実を伝え切れていないのでは?私たちが災害報道に慣れてしまっている?と感じることもありました。被災当事者でもない私は何も言えませんが、せめて現地の事実を知る事、肌で感じる事の大事さを知りました。私たちは災害の多い島国で生活しています。対岸の火事ではなく、もっと手を取り合う必要があります。
最後になりますが、被災された方々へお見舞い申し上げます。復興がなされるまで、手を取り合っていける世の中になることを切に願って。